家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
何気ない一言が、ナイフのように胸に刺さる。

気にしないでと言われても、できるわけがない。

けれど私は、笑ったままだった。

「そうだったの。そうよね。ルシアが格下の伯爵家と結婚するわけないものね。」

私が静かにそう言うと、ルシアはますます笑顔を深くした。

その笑みには、どこかぞっとするような陰があった。

「ふふ、お姉様ったら……。でも驚いたわ。お姉様のような“そばかす顔”でも、気に入る人がいるのね。」

口調は軽く、悪気がないようにさえ見えた。

だが、その一言が、私の胸の奥に沈殿していた劣等感をあざ笑うように響いた。

「……それは、まだ分からないわ。」

絞り出すように答えた私に、ルシアはあっけらかんと首を傾げた。

「そう? でも伯爵って、見る目あるのかしらね?」
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