家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「ええ。いつも甘やかされて、綺麗だって褒められて、望んだものは何でも手に入ってきた。だからこそ、初めて手に入らなかったものが悔しくて仕方ないのよ。」

セドリックは深く息を吐いた。

「僕は、君を手に入れられて幸運だった。けれど、君の妹を――ルシアを、ほんの少しでも守ってやれたらと思っていた。妹があんなにもひねくれてしまう前に……。」

「もう遅くはないわ。」

私はセドリックのそばに座り、彼の手をそっと握った。

「あの子はまだ若い。これから何度でもやり直せる。ただ、正しい道に戻るには……一度、自分の足で立たなきゃいけないの。」

セドリックは私の手をきゅっと握り返し、ゆっくりと頷いた。

「お父上には、結婚の話は見送った方がいいと伝えよう。」

セドリックが静かに言った。
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