家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「そうなの?」

私は思わず尋ねる。

「あんな妹でも、嫌がる相手と結婚させるのは、気の毒だ。」

その声に、怒りや苛立ちは微塵もなかった。ただ、冷静に、そしてどこか優しさを含んでいた。

私は胸がきゅっと締めつけられるのを感じた。

「セドリック……あなたって、やっぱり優しい人ね。」

彼は照れくさそうに目を逸らした。

「君の妹だろ。放ってはおけないよ。」

その一言に、私は目頭が熱くなった。

自分の家族のことでさえ、私はこんなふうに穏やかに考えられなかったのに、セドリックはまっすぐに向き合ってくれている。

「ありがとう。私、あなたと結婚して本当によかった。」

セドリックは微笑み、そっと私の手を包んだ。

ルシアとの関係を聞くのは、今しかない――そう思った。
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