家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「そのとき、はっきり分かったんだ。僕はただの地位や家柄ではなく、人を大事にする人と一緒に生きたいんだって。」

私はそっと彼の手に自分の手を重ねた。

「私で、よかった?」

彼は優しく、けれどしっかりと私の手を握り返した。

「もちろん。僕が選んだのは君だ。心からそう思っている。」

彼は私をそっと抱きしめてくれた。

優しい温もりに包まれながら、私は静かに目を閉じた――まるで、今この瞬間だけが真実のように。


そしてその日のうちに、セドリックは父へ手紙をしたためた。

翌朝、私はどうしても心配になって、実家を訪ねた。

応接間に通される前から、激しい怒声が屋敷中に響いてきた。

「この恥知らずめ!姉の夫を誘惑するとは、なんてことをしでかしてくれたんだ!」
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