家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
父の怒号だった。私は息を呑み、扉の前で立ち止まった。

まさか、セドリック……本当にそう書いたの?

ルシアの泣き声がかすかに聞こえる。

「違うのよ!お姉様が断らなかったから!」

「逆恨みで家庭を壊すような真似をして、貴族の名に恥じぬと思っているのか!そんな娘、王子との婚約などもってのほかだ!」

私は扉に手をかけることもできず、その場に立ち尽くした。

「この件はアルバート王子の耳にも入っている。」

お父様の声は怒りに震えていた。ルシアはその言葉に顔色を変える。

「まさか……そんな……」

「悪い噂は、広まるのが早いからな!」

そう言ってお父様は机の上から一通の手紙を手に取り、ルシアに突き出した。

「アルバート王子からだ。婚約破棄の書状だ。」

「う、うそ……」
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