家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
私は強くうなずいた。

助けたいのは、両親の生活だけ。

名家の体裁でも、妹の我が儘でもない。

「私がお願いしたのは、両親が人並みに暮らしていけるだけのこと。それ以上は……あの家の責任よ。」

セドリックはしばらく黙っていたが、やがて頷いた。

「わかった。最低限の援助はしよう。だがそれ以上は、一切干渉しない。君が胸を張って生きられるように、僕は君を守る。」

その言葉に、胸がじんと熱くなった。

「ありがとう……セドリック。」

彼がいてくれて、本当によかった。

それから数日後、セドリックは静かに「両親に、当面の生活費は渡しておいた」と私に告げた。

それは多くを語るでも、見返りを求めるでもなく、あくまで淡々とした口調だったけれど、私の胸には重く、深く響いた。
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