家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
その噂は、すでにセドリックの耳にも入っていた。

「呆れたよ。お父上はまだ、ルシアのことを諦めていないようだ。」

「なんですって⁉」

思わず、声が裏返った。

「ルシアを“公爵令嬢”として、どうにか再婚させるために、また借金をしているらしい。しかも、かなり高額だ。」

「そんな……」

私は目の前が真っ暗になり、ふらりとその場に倒れ込んだ。

セドリックがすぐに抱きとめてくれる。

「大丈夫か、クラリス?」

「……なんて馬鹿なことを……」

声が震える。あの両親が、まだ“名門”にしがみついているなんて。

――これ以上、セドリックに迷惑をかけたくない。

そう思えば思うほど、胸が苦しくなっていった。
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