家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「もう終わりだわ……」

私が静かに涙をこぼすと、セドリックはそっと肩を抱いてくれた。

「クラリス。もう一度、お父上のところへ行こう。君が納得するためにも。」

その言葉に背を押され、私達は数日後、時間を見つけて実家へ向かった。

だが――目に映ったのは、かつてのエルバリー公爵家とは思えない姿だった。

庭の手入れはされておらず、枯れ葉が積もっている。玄関の扉は軋み、塗装は剥がれ、屋敷の外壁にはひびが走っていた。

「……こんな……」

中に入れば、かつて賑わっていた使用人の姿もなく、数人の執事が淡々と仕事をこなすだけ。

廊下にはほこりが溜まり、空気には寂れた匂いが漂っていた。

「……ああ……」

私は玄関の床に膝をつき、そのまま力なく倒れ込んでしまった。

セドリックがすぐに駆け寄り、私を抱きとめた。
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