家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「いえ、そうではなく、今日は――借金を止めるよう、お伝えする為に来ました。」

セドリックが静かに、だがはっきりと言った。

その言葉に、お父様の眉がピクリと動いた。

「……何だと? ルシアに、結婚をやめろとでも言うのか?」

「そうではありません。無理な縁談ではなく、ルシア自身が誰かを愛して、恋愛結婚するという道もあるのでは、と申し上げているのです。」

「馬鹿な!」

お父様の声が応接室に響いた。

「どこの馬の骨とも分からん男と恋愛などしてみろ。もしも相手が貧乏人だったらどうする? 金も地位もない男に、ルシアをやれるか!」

その頑なな物言いに、私は心が苦しくなった。

今、この家に地位も金も残っていないのに。なのにまだ、見栄と体裁にすがっている――。
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