家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
セドリックの表情は変わらなかったが、そのまなざしには、諦めと悲しみがにじんでいた。

それでも彼は、ゆっくりと言葉を重ねる。

「伯爵としてではなく、一人の兄として、彼女の幸せを願っているのです。」

その言葉を待っていたかのように、今度はルシアが応接室に入って来た。

彼女の衣服は、地味なものになっていた。

「さすがは、グレイバーン伯爵。」

呆れた。

この前まで、伯爵家を馬鹿にしていたのに。

「そうだわ。いいアイデアがあるの。」

ルシアはまるでお茶会で冗談を言うかのように、楽しげに笑った。

「お姉様と伯爵が離婚して、お姉様の結婚相手を募るの。」

「……何を言っているの?」

私は、妹が狂ったように思えた。

「それで、私とグレイバーン伯爵が結婚するの。そうすればグレイバーン伯爵家とエルバリー公爵家のつながりは絶えないし、私は結婚できるし、お姉様ももっと幸せに……」
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