家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
信じられないほど明るい声で、ルシアは語る。

まるで天才的な名案を思いついたかのように。

ふざけないで。

そう言おうとした、その時だった。

「ふざけるな!」

怒声が響いた。セドリックだった。

ルシアも私も驚いて、彼を見た。

あの穏やかで優しいセドリックが、顔をしかめ、怒りを露わにしていた。

「クラリスは、私の大切な妻だ。君がどう言おうと、決して手放す気はない。」

「でも、お姉様より私の方が――」

「やめろ!」

彼の怒りは、本物だった。ルシアの笑顔は凍りつき、その場に立ち尽くした。

「クラリスは、僕の最愛の妻だ。彼女を手放してまで、君と結婚する理由がどこにある?」

ルシアは信じられないといった顔で、目を大きく見開いた。

「だって……私の方が、公爵令嬢よ。お姉様よりも、ずっと……」
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