家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「身分がなんだ。君は人として、大切なものを忘れている!」

セドリックの目が鋭く光る。

彼は一歩、ルシアに近づいた。

「君が姉の夫を奪おうとし、家の為に結婚を押しつけられるのを当然と語る姿は、哀れだ。」

私は唇を噛んだ。

どれほどルシアが傲慢でも、妹だ。

だが今、私の代わりに怒ってくれている彼の言葉は、何よりも心に沁みた。

「クラリスを侮辱することは、僕自身を侮辱することと同じだ。……これ以上、僕たちの前で愚かなことを口にするな」

ルシアは声も出せず、ただその場に立ち尽くしていた。

セドリックをなだめたのは、両親だった。

「まあまあ、グレイバーン伯爵。怒らないでくだされ。」

「もうルシアのことは、私達に任せて……君はこのエルバリー公爵家への援助を考えてくれ。」
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