家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
その言葉に、セドリックの顔が見る間に険しくなった。

「今度はお金の話ですか!」

静かな声だったが、怒りの芯がこもっていた。

私は、思わず彼の腕を取った。

「セドリック……ちょっと外に出ましょう。」

彼も何かを振り払うように、深く息をついてうなずいた。

応接室を出た廊下は静かで、ほんの少しだけホッとした空気が流れていた。けれど、セドリックの肩はまだ怒りで震えていた。

「ごめんなさい……私の家のせいで、あなたにまで嫌な思いを……」

私はそっと、彼の手に手を重ねた。

彼は私の顔を見て、ゆっくりと深呼吸をした。

「私が両親と話してくるわ。あなたは廊下で待っていて。」

そう言って私は、セドリックの手をそっと離した。

彼は一瞬、私の目を見つめたまま何か言いたげだったが、やがてふっと息をついてうなずいた。
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