家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
ルシアはくるりと私の方を振り返り、いたずらな笑みを浮かべる。

「なのに、“あのそばかす顔のお姉様”だなんて」

クスクスと喉の奥で笑いながら、彼女はまるでそれが冗談のように続けた。

私の胸の奥に、冷たい何かが落ちる。いや、もう何度も落ちている。

そのたびに砕けた心の破片が、私の中でざらざらと音を立てるのだ。

「ルシア、やめなさい。」

母の声がようやく少し鋭さを帯びたが、ルシアは「ごめんなさい」と可愛らしく笑って誤魔化した。

「しかも成り上がり。地位もお金で買い取ったもの。名誉もないじゃない

ルシアが言うと、お母様は疲れたように笑った。

「でもお金はあるわ。」

「お金があれば、それでいいの?」

ルシアが目を丸くする。

「……正直、あの子の婚約には疲れたの。」
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