家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
けれど、お父様はまるで聞く耳を持たず、声を荒げた。

「何を言う。グレイバーン家とはわけが違う。我が家は由緒正しい公爵家だ。下賤な生活などできるか!」

「そうよ。名門の名に相応しい生活をする。それが貴族よ。」

お母様も、気品を装いながらもどこか空虚な目で言い放った。

私の心は打ちのめされた。

両親は、見栄と虚栄心に囚われたまま――現実を見ようともしない。

もはや、私の声は届かないのかもしれない。

だけどそれでも、私はあきらめたくなかった。

「分かりました。お父様とお母様のお考えが改まるまで、生活費の援助は止めます。」

私がそう告げると、応接室の空気が一気に凍りついた。

「何だって⁉」お父様が立ち上がる。

「クラリス、それは本気なのか⁉」

「クラリス、本気なの⁉」

お母様の声も震えていた。
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