家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
だが、私の決意は揺らがなかった。

その瞬間、別の声が響いた。

「いい加減にしてちょうだい!」

今度はルシアが立ち上がり、怒りに満ちた目で私を睨んだ。

「成り上がった伯爵家のくせに、調子のいいことを言わないで!」

その言葉は私ではなく、セドリックに向けられたものだった。

私はすぐに立ちはだかった。

「セドリックを侮辱するのはやめて!」

けれど、ルシアは引かなかった。

「お姉様まであの男に染まって……! 家族よりも、あんな男を選ぶの⁉」

私は静かに、でもはっきりと答えた。

「そう。私はセドリックと生きることを選ぶ。もう、あなたたちの幻想に付き合うつもりはないの。」

もう無理だった。

私は立ち上がり、椅子を引き払って応接室を出ようとした。
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