家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
私は覚悟を決めて、ルシアに手を上げた。

「何?その手。」

頂点で私の手は止まる。

震える指先が、怒りと哀しみの狭間で揺れていた。

「伯爵夫人は暴力的な方なの?」

ルシアの口元がゆがむ。

「はっ!伯爵家ごときが、公爵家に手をあげようとすること自体、生意気なのよ!」

その瞬間だった。

パァン――。鋭い音が、応接室に鳴り響く。

ルシアの頬が赤く染まり、驚愕に目を見開く。

打ったのは、私ではなかった。

「……セドリック!」

信じられない。廊下にいるはずの彼が、私をかばうように立っていた。

「身分をわきまえず、生意気で失礼な態度を取っているのは、君の方だろ。」

セドリックの声は低く、しかし一切の感情を押し殺していた。

「私ですって?」
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