家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
帰りの馬車の中、私はずっと視線を落としていた。窓の外に広がる街並みが、ぼんやりと流れていく。

「クラリス、君の激しい落ち込みは分かる。」

優しくそう言ってくれたセドリックの声に、胸が締めつけられる。

「セドリック……」

けれど、私が本当に落ち込んでいるのは、実家の没落や両親の態度のせいではなかった。

「本当に申し訳ありません。」

私は深く頭を下げた。

セドリックは少し驚いたような顔をして、私を見つめる。

「君は、実家のことで僕に頭を下げてばかりだな。」

「……あんな家族でも、私には家族だから。」

涙が頬をつたう。

「もう切り離すこともできるのに、それができない。情けないわよね……」

その時、セドリックは私の手を取って、しっかりと握ってくれた。

「情けないなんて思わない。君のその優しさこそが、僕が愛したクラリスなんだよ。」







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