家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「レオン。」

デュラン夫人が、優雅に手を振って彼を呼んだ。

すると、その呼びかけに応じてレオン・カザリス伯爵は静かにこちらへ歩いてきた。

柔らかい微笑みをたたえたその姿は、気取らず、それでいて洗練されていた。

「レオン、この方がルシアのお姉さんよ。」

紹介されて、彼は私に向かって気さくに手を差し出してきた。

「レオン・カザリスです。お会いできて光栄です。ルシアからお姉さんのこと、よく聞いていますよ。」

「えっ……なんて?」

思わず聞き返すと、彼は口元に笑みを深めながら答えた。

「“社交界の華”だと。」

一瞬、何かの冗談かと思った。でも彼は真剣な顔でそう言っていた。

あのルシアが……そんなふうに、私を語っていたなんて。

「そう言って、あなたを尊敬していました。」

思いがけない言葉に、胸がじんわりと熱くなるのを感じた。

あの妹にも、そんな気持ちがあったのだろうか。
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