家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「貯金を崩す必要はないわ!」

思わず、私は彼の腕をつかんでいた。

「えっ……」

「必要以上に払うことはありません。じゃないと、そのお金、借金に消えてしまうわ。」

「え……借金……」

彼の顔に、明らかな動揺が走った。――やはり、知らなかったのだ。

「エルバリー家は、ルシアの結婚を口実に、莫大な借金を抱えているの。おそらく、あなたが結婚したら、今後も経済的支援を求められるわ。」

「まさか……」

カザリス伯爵――レオンは、言葉を失ったように私を見つめた。

きっと、夢のような恋の成就に心を奪われていて、現実を直視する余裕もなかったのだろう。

――だが、ルシアの姉として、私は彼に真実を伝える義務がある。

このままでは、彼の優しさが食い潰されてしまう。
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