家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
このままでは、レオンが犠牲になる。

私は覚悟を決めて、実家の門を叩いた。

「お父様!お母様!」

まるで敵地に乗り込むような緊張感に包まれながら、私は声を張り上げた。

すると、屋敷の奥――執務室の扉の向こうから、怒号が聞こえてくる。

「どういうことだ!婚約を考え直すとは!お前、また何かしでかしたのか!」

怒鳴っているのは父の声。そして、かぶさるようにルシアの声。

「何もしてないわよ!」

「借金のこと、しゃべったのか!」

「そんなもの、話すわけないでしょ!」

私は、扉の前で足を止めた。

――そう。あの両親は、レオンに借金のことを隠している。

そして、ルシアは……黙っている。結婚が遠のくのを恐れているのか。

私は拳を握りしめ、執務室の扉を強く叩いた。

「クラリスです。話があります。開けてください!」
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