家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
扉の奥から現れた父は、怒りに満ちた目で私を睨んだ。

「クラリス……!」

「借金のこと、レオンに話したのは私よ。」

私の言葉に、父の顔色が変わる。

「お前か!余計なことをしでかしおって!」

「将来ある青年に、借金を背負わせるなんて……最低よ!」

激しく睨み合う私と父。だがその緊張を破ったのは、母だった。

「二人とも……もうよして……」

母はふらふらと椅子に腰を下ろし、かすれた声で呟いた。

「やっと借金の返済の当てができたのに……」

私はその言葉に、ぞっとした。やはり、レオンとの婚約は金のため。娘を幸せにする気なんて微塵もない。

「自業自得でしょ。」

私は冷たく言い放った。

誰かの善意を利用して、家を守るなんて――そんなやり方、許せるはずがなかった。
< 192 / 300 >

この作品をシェア

pagetop