家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「そんなのできるわけないじゃない!」

ルシアは目を吊り上げ、私を睨みつけた。

「何よ。自分はお金を持ってるからって、人を馬鹿にして!」

その目には怒りと、焦りが混ざっていた。

「なにもかもお姉様のせいよ!」

まるで八つ当たり。でも私は、ただ静かにため息をついた。

「ルシア……レオンとの結婚、ダメになってもいいの?」

その問いに、彼女は一瞬、口をつぐんだ。

「レオンがあなたを愛してくれているのは分かる。でもそれは、あなたが公爵令嬢だからじゃない。あなた自身に魅力を感じているからよ」

私はゆっくりと歩み寄り、彼女の肩に手を置いた。

「でもね。レオンと結婚できなかったら、あなた……一生独身になるかもしれない」

その言葉に、ルシアの顔がみるみる青ざめていく。

今の彼女には、もう縁談も、名家の後ろ盾もない。最後に残ったのは、愛をくれたレオンただ一人。

「……いやよ」

か細い声が、ようやく彼女の唇から漏れた。
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