家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「だったら、レオンに今の事情を正直に話して。」
私は静かにそう告げた。もう、偽ることに意味はない。

「分かった。」

意外にも、それに返事をしたのはお父様だった。

「レオンが納得するまで、説得するしかないな。」

その顔には、これまでの高慢さとは違う、どこか諦めと覚悟が混ざったような陰りがあった。

そうして、お父様は実際にレオンに会い、エルバリー家の財政の実情を話した。

屋敷の老朽化、使用人の削減、借金の山。かつての栄華など、もはや幻。

それを聞いたレオン・カザリス伯爵は、長い沈黙の末、こう答えたという。

「結婚費用はこちらで用意します。ただし、それ以上の資金援助はできません。」

淡々とした、だが誠実な言葉。

「調度品や式の準備も、うちの家で揃えます。必要なものはすべて、私が責任を持ちます。」

その決断に、誰よりも驚いたのはルシアだった。

彼女はようやく、自分が愛されている意味を知り始めたのかもしれない。
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