家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
そして、教会の外でひそひそと囁く声が聞こえてきた。

ルシアの元同級生たちだ。皆、美しく着飾っているが、その笑顔の裏には冷ややかな影があった。

「王子と婚約まで行ったルシアが、こんな庶民的な結婚式だなんてね。」

「しっ……声が大きいわ。でもほんと、もうルシアと結婚するっていう人なんて他にいないんじゃない?」

「大丈夫かしら、旦那さん。ルシアにお金、せびられないかしら。」

ひそひそ声に混じる、半ば呆れたような笑い。

さすがに旧友たち。ルシアの性格も見栄っ張りなところも、よく知っているらしい。

私は思わず顔を背けた。恥ずかしさもあるが、それ以上に悲しみが胸に刺さった。

――だけど、これが現実。

ルシアが背負ってきた過去の“代償”なのかもしれない。

私は祈るように、式が静かに進むことを願った。
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