家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
しかも、式の最中、決定的な出来事が起きた。

誓いの言葉の場面だった。

「ルシア・エルバリー、あなたはレオン・カザリスを夫として、愛し、尊敬し、支え合うことを誓いますか?」

牧師の問いに、ルシアは沈黙したまま、視線を彷徨わせた。

「……どうしました?」

ざわつく会場の空気。レオンが不安そうにルシアを見つめる。

「……はい。」と言えばいいだけなのに、ルシアの口から出たのは――

「……努力します。」

その瞬間、教会内の空気が凍りついた。

「えっ……」とレオンが顔をこわばらせた。

「誓ってくれるだろ、ルシア……」彼は必死だった。

だが、ルシアはため息混じりに言った。

「だって、こんな質素な結婚しかできないあなたを、愛せって言われたって……」

会場がざわつく。
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