家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「クラリス、いい本が入ったのよ。」

手には装丁の美しい物語本。

表紙には、異国の姫と騎士の恋物語とあった。

「まあ……ありがとうございます、お母様。」

私が受け取ると、伯爵夫人はふっと微笑む。

「ところで、二人は――子供は作らないの?」

思わぬ問いに、私は手を止めた。

セドリックも、読んでいた本から目を上げた。

「まあ、焦る必要はないけれど……あなた達のように仲睦まじい夫婦に、可愛い子がいたら素敵でしょう?」

その言葉は穏やかで、押しつけがましさはなかった。

私は顔を赤くしながら、そっとセドリックに視線を向けると、彼は静かに微笑んで、私の手を取った。

「そうですね……いつかきっと。」

私はそう答えた。




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