家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「貴族の家というのは、因果なものね……」

お母様はそう呟くと、静かに窓辺へと歩み寄った。

午後の柔らかな陽射しが、薄絹のカーテン越しに降り注ぎ、その横顔を浮かび上がらせる。

「伯爵家を継がせる跡取りが必要になる。そうでなければ、家が続かないから。」

その声には、重く沈んだ響きがあった。

私は思わず、セドリックに目をやった。彼もまた、真剣な面持ちで母の背中を見つめている。

「……あの子も、そうだった。」

お母様の瞳に、一瞬だけ過去の情景が映ったような気がした。

「セドリックのお姉さま……」

私が小さく尋ねると、お母様は静かにうなずいた。

「結婚してからというもの、あの子は“跡継ぎを”と向こうの母親にせがまれて……」
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