家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
言葉を選ぶように、お母様はそっと息を吐く。

「結局、あの子はお産で命を落とした。まだ若かったのに……」

部屋の空気が、しんと静まり返った。

跡取りの名の下に、ひとつの命が散っていった。

その哀しみが、今もお母様の中で消えていないのだと知った。

「私は怖いわ。クラリスが無事に出産できるかどうか……」

お母様の声は、かすかに震えていた。

強く気丈に見えるその人が、今はただ、ひとりの母として、私のことを案じてくれている。

「大丈夫ですよ。私は丈夫ですから。」

そう言って、私はそっとお母様を抱きしめた。

彼女の身体は細く、あたたかく、そして優しかった。

まるで本当の母親のように、私を包んでくれる存在――。

「クラリス……」
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