家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
お母様の瞳に、涙がにじんでいた。

こんなにも心から、私のことを気にかけてくれている。

それだけで、胸がいっぱいになる。

私は思った。

この人のためにも、セドリックのためにも、そして自分のためにも――新しい命をこの世に迎えたい。

「ありがとう、クラリス。あなたのような娘ができて、本当に幸せだわ。」

その言葉に、私は静かに微笑んだ。

きっと大丈夫。私は、この家で、愛されて生きているから。


その夜。私は、自分からセドリックに近づいた。

彼はベッドで本を読んでいたが、私がそっと寄り添うと、すぐに本を閉じた。

「どうした?君から誘ってくれるなんて……興奮するね。」

唇を重ねると、セドリックは少しニヤついた。

だけど、私が真剣な目で見つめると、その表情はすぐに変わった。
< 206 / 300 >

この作品をシェア

pagetop