家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
セドリックは悔しげに唇を噛みしめ、私の手を握り返す。

「いいのよ。」

私は、ゆっくりと顔を窓の外へと向けた。

風に揺れる庭の花々、移ろう雲の形。

それは、まるで生と死が交錯する舞台のように美しかった。

ありとあらゆるものが、死と再生を繰り返している。

「私も……ただ、そういう運命だったのかもしれないわね。」

穏やかに笑ったつもりだった。

でもセドリックの瞳には、耐え切れないほどの悲しみが宿っていた。

彼は、何も言えずにただ、私の手を強く握っていた。

「医者を探す。隣国まで手を伸ばす。」

セドリックのその言葉に、私は驚きと戸惑いを隠せなかった。

「セドリック、無理をしないで。そんなに遠くまで……」

「ここで無理をしなければ、君を失う!」
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