家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「患者を診るのは久しぶりだ。」

年老いた医師のその言葉に、私は思わずセドリックの手を握った。

大丈夫なのだろうか……。だが、彼の目は真剣だった。

まるで私の不安を見透かしたように、優しく頷いてくれる。

「では、詳しく症状を伺いましょう。」

私は、これまでのことを静かに語った。

立ち眩みに、吐き気、食欲不振。そして──

「最近、なんだかお腹が膨らんでいるような気がして……」

一瞬、部屋が静まり返る。

医師と助手が顔を見合わせ、まるで何かを確信したかのように、機械の準備を始めた。

「……クラリス、もしかして……」

セドリックが私の顔を見つめて言った。

その時、胸の奥で、何かが確かに動いた気がした。

「奥さん、月のモノが止まっているだろ。」
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