家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「いやあ、まさか新しい命を見るとはね。」

医者は満足げに言いながら、帽子を脱いだ。

「あとは、この若い助手に任せようか。」

「助手?」

セドリックと私は顔を見合わせた。

「私、助産婦なんです。」

若い女性はにこやかに微笑んだ。

なるほど、彼女は子供を取り上げる専門家。

いわば命の現場を担う人なのだ。

「まずはきちんと栄養を取らないといけませんね。」

そう言って、彼女はノートを取り出し、私の体に合った食事のアドバイスを書き始めた。

鉄分の多い野菜、消化の良い穀物、そしてこまめな水分補給。

セドリックは真剣な顔でそのメモを覗き込んでいる。

「これを守れば、赤ちゃんもお母さんも元気に育ちますよ。」

その言葉に、私は心の底から安心した。

小さな命とともに、私の中で新しい未来が動き始めていた。
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