家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
セドリックは、その日のうちにお母様に話してくれたらしい。

夕食の時間、食堂の扉が開くと同時に、お母様が勢いよく入ってきた。

「クラリス!」

駆け寄るように私の手を握り、そっと抱きしめてくれる。

「よくやったわ。ついにグレイバーン伯爵家に、新しい命が宿ったのね。」

お母様の目はうるんでいた。

あの気品ある姿からは想像できないほど、喜びがあふれている。

「子供の分まで栄養を摂らなきゃね。あなたが元気じゃないと、赤ちゃんも元気に育たないわよ。」

その日からというもの、キッチンにはセドリックだけでなく、お母様までもが立つようになった。

「今日は鶏肉のスープよ。鉄分もしっかり取れるわ。」

お母様の張り切りぶりに、侍女たちも圧倒されるほど。

こうして、グレイバーン家にはさらにあたたかな空気が満ちていった。
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