家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
それから私は、吐き気に悩まされながらも、助産婦さんの指導に従って少しずつ栄養を摂るよう心がけた。

セドリックやお母様のおかげで、私の身体はみるみる元気を取り戻していった。

「運動もしなきゃね。」

お母様の言葉に背中を押されて、私は庭を散歩するようになった。

「本当、見逃していたわ。考えてみたら、最初に娘を産んだ時は、つわりがなかったのよ。」

歩きながら、お母様は懐かしそうに話す。

「そうなんですか?」

「ええ。でもあの子、幼い頃から元気すぎて……手がかかったわ。でも、それが嬉しかったのよ。」

お母様の顔には穏やかな微笑みが浮かび、優しい春風のようだった。

そんな風に、命を育んだ先輩として寄り添ってくれる存在が、どれほど心強いことか。

私は、自分の中で育っている新しい命に、ますます愛おしさを感じた。
< 221 / 300 >

この作品をシェア

pagetop