家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
たしかに貴族の世界には、形式だけの結婚や、表向きの愛人関係など、珍しくはない。

けれど、セドリックに限ってそんなこと……。

胸がぎゅっと痛んだ。

彼が私以外の女性を抱く姿など、想像したくもない。

――でも、もし私が夜の務めを果たせないまま、何年も経ったら?

私は静かに目を伏せた。

「そんな未来、絶対に嫌……」

心の中で、そうつぶやいた。


もし、セドリックに愛人ができたら――。

その想像だけで、胸がぎゅっと締め付けられる。

それでも、誰かに奪われるくらいなら、自分が選んだ女性の方がましだと思った。

「キャリーはどうかしら……」

かつてセドリックの傍に仕えていた、聡明で美しい女性。

セドリックが結婚すると知ったとき、彼女は黙って身を引いた。
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