家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「……修道女になりたいと言っていた。」

「修道女に?」

思わず聞き返してしまう。

神に仕える身になるということは、つまり――一生、誰のものにもならないということ。

「彼女……何かあったのかしら。」

「いや、むしろ穏やかな顔だったよ。自分で選んだ道なんだろう。」

セドリックはそれ以上、深く語らなかったけれど、私は分かってしまった。

きっとキャリーは、セドリックへの想いが大きすぎたのだ。

手に入らないと分かった時、どこにもぶつけられなかったその心を、神様に捧げることで昇華しようとした。

その覚悟と誇りが、胸を打った。

「ごめんね、キャリー……私、あなたの気持ちに気づいていたのに……」

私はそっと、心の中で彼女に手を合わせた。
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