家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「素敵なお店ね。」私はそう言った。

「ありがとうございます。静かに過ごせる場所が欲しかったんです。」

彼女はテーブル越しに私を見つめた。

「それで……今日は、どうされたのですか?」

私は胸の奥で、迷いながらも覚悟を決めた。

「あなたに、お願いがあるの。」

キャリーは手元の花束を整えながら、私を見つめた。

まっすぐな瞳だ。

私は一瞬、言葉に詰まりかけた。

でも、逃げることはできない。

「セドリックのことよ。」

すると、キャリーの手がぴたりと止まった。

それでも彼女は、言葉を挟まず、黙って私の続きを待っている。

まるで、すでに何かを察しているかのように。

「私は子供を授かって、夜の生活が……少し遠ざかっているわ。でも、彼には……その、必要なことだから……」

キャリーの瞳がわずかに揺れた。
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