家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
セドリックが仕事から帰ってきた時、私は彼の部屋の扉を開けて、キャリーを中へ通した。

「キャリー。どうして今の時間、君がここにいるんだ?」

驚いたように眉をひそめるセドリック。私の方へ目をやるが、私はそっと言った。

「キャリーから聞いて。」

扉を静かに閉め、私は部屋の外で耳をすませた。

「夜の相手を頼まれました。」

キャリーの声は震えていた。その言葉に、しばしの沈黙。次に聞こえたのは、セドリックの深い溜め息だった。

「必要ない。」

「セドリック……」

キャリーの声はかすれ、すすり泣く音が聞こえた。

「私はあなたを愛している。」

キャリーの声は、涙混じりに震えていた。

「キャリー……」

戸惑いながらも、セドリックは彼女の気持ちを真正面から受け止めようとしていた。

「お願い、一度でいいの。クラリスに貰ったチャンスだから。」
< 235 / 300 >

この作品をシェア

pagetop