家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
その瞬間、セドリックの手が止まり、顔がゆっくりと上がった。

「傷ついたよ。」

彼の声は小さく、震えていた。

目には、涙が浮かんでいた。

こんなに誠実で、優しい彼を、私は疑ってしまったのだ。

心配するあまりとはいえ――私は、自分の愚かさに、ただ俯いた。

「本当に……ごめんなさい。」

私は彼の手をそっと握りしめた。

すぐに返事は来なかったが、彼はその手を握り返してくれた。

「生涯、君だけだ。」

セドリックは、私の手をそっと取り、愛おしそうに唇を落とした。

「誰もいらない。君しか欲しくない。」

その低く真剣な声に、胸が熱くなった。

私は、こくりとうなずいた。

「夜の相手は、君じゃないと意味がないんだ。」

「セドリック……」

「君に触れて、キスして、二人で一つになって……クラリスだからできるんだ。他の誰かじゃ駄目なんだ。」

彼の目には、まっすぐな思いが宿っていた。

私はそのまま彼の胸に飛び込んだ。
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