家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
すると、会場の一角に見慣れた顔を見つけた。

「ルシア?」

私が声をかけると、ルシアはびくりと肩を跳ねさせ、振り返った。

「……クラリス?」

その顔には、気まずさと困惑がにじんでいる。

「どうしたの?ルシア。あっ、今はカザリス伯爵夫人ね。」

「その名前を言わないで!」

ルシアは両手で耳を塞ぎ、顔を背けた。

「伯爵夫人なんて、恥ずかしくて恥ずかしくて……!」 

ふう、と私は小さくため息をついた。

変わらないわがままぶりに、呆れつつも少し笑みがこぼれる。

「で?そのレオンはどうしたの?一緒じゃないの?」

「それが……いないのよ。」

ルシアは不満そうに唇を尖らせた。

「招待はされたのよ?でも“仕事があるから”って断られて……」

「あら、堅実ね。」

「そうじゃないの!晩餐会よ?王族主催なのに!伯爵夫人として一人で出席なんて、惨めすぎるじゃない!
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