家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
その様子を見ていたルシアが、わなわなと震えだした。

「どうして、クラリスばかり幸せなの!」

その叫びに、周囲の視線が一斉に彼女に向いた。

私はてっきり、さっきのレオンの愛人騒動で姿を消してしまったと思っていたから、ルシアがまだ近くにいたことに驚いた。

「夫婦円満……溺愛……子宝にも恵まれて?」

ルシアの目には、怒りとも嫉妬ともつかない感情が渦巻いている。

私は一歩、彼女に近づいた。

「ルシア、落ち着いて。」

私は静かに声をかけた。彼女は興奮すると何をしでかすか分からない。

あのプライドの高さ、そして今の絶望。

その二つが交わる時、理性が吹き飛んでしまうのだ。

「なのに私は……」とルシアは続けた。

「こんな質素な生活。愛人を連れてくる夫。誰からも羨ましがられない結婚……」

言葉の端々に、あの自信満々だったルシアの姿はなかった。

ただ、傷ついた一人の女がそこにいた。私は黙って彼女の言葉を聞くしかなかった。
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