家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
さらっと聞いたつもりだった。でもそれは、ずっと胸の奥にしまい込んでいた、私の本心だった。

誰にも聞けなかったこと。誰にも、怖くて聞けなかったこと。

けれど、彼の返答はあまりにもあっさりしていて。

「別に。どうでもいい。」

その瞬間、心に小さな棘が刺さったような気がした。

どうでもいい――その言葉の響きが冷たくて、思わずうつむく。

私という存在も、そばかすも、すべて「どうでもいい」ものなのだと、突きつけられたような気がして。

でも、すぐに気づく。

それは侮蔑ではなかった。あの目には、軽蔑も、拒絶も、なかった。ただ、事実を告げただけの静かな瞳。

「気にする理由がないから。……君が気にしているのかい?」

その一言に、喉の奥が熱くなった。

なぜだろう。たったそれだけの言葉が、こんなにも胸を揺らすなんて。
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