家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「もしかして、セレンシア王女?」

ルシアの声が、会場の空気を震わせた。

振り向いたその女性は、確かに気品を漂わせていた。

繊細な顔立ちに、流れるような金髪。

民間の娘とは思えぬ立ち居振る舞い――間違いない、王族の血筋だ。

「な、な、なんでセレンシア王女が、レオンと⁉」

ルシアの顔が、恐怖と怒りと混乱でぐしゃぐしゃになっていた。

私は息を呑み、隣のエミリアやリリアンと顔を見合わせる。

「えっ⁉ 王女⁉」

「確か、セレンシア王女って……ルシアが婚約していたアルバート王子の妹さん?」

「うん……だから知ってるのね。ルシア……」

ルシアは目を見開き、セレンシアとレオンを交互に見つめていた。

その視線には、怒りよりも“敗北”の色が浮かんでいた。

私は思わずルシアの背に手を伸ばした。

――でも、それ以上に怖かった。
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