家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
またルシアは、とんでもない失態を犯してしまったのではないかと、私は背筋が寒くなった。

「レオンにエスコートを頼んだだけですが?」

セレンシア王女の声音は静かでありながら、芯の通った強さがあった。その一言に、場の空気が一気に凍る。

「だって、レオンの愛人って……」

ルシアの声が震えていた。

だが、王女の次の言葉が容赦なく彼女を打つ。

「愛人⁉」

セレンシア王女の眉がぴくりと上がった。

あからさまに呆れた表情だった。

「あなたは、レオンが王族主催の晩餐会に、堂々と愛人を連れて来たと思っていたのですか?」

その問いに、ルシアは口を開けたまま、何も言えなかった。

「呆れました。そんな非常識なことを、いくらレオンでもするわけがありません。彼の誠実さを、あなたは理解していないのですね。」
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