家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
場にいた貴族たちは、静まり返っていた。

誰もがルシアの無礼に言葉を失っていた。

私でさえ、ルシアの短慮に目を伏せざるを得なかった。

レオンが気まずそうに目を逸らし、ルシアの隣に立っていた。

そして王女をそっとかばうように立ったその姿が、ルシアにとって何よりもつらい現実だったに違いない。

「カザリス伯爵夫人。」

その冷ややかな声に、ルシアはハッと顔を上げた。

セレンシア王女は微笑みすら浮かべず、毅然としたまなざしでルシアを見据えていた。

「彼は、スクールの同級生です。私にとっては大切な友人であり、何もやましいことはありません。」

「……はい……」

ルシアはうつむき、唇をかみしめた。

「確かに、彼には仕事で忙しいと言っていたのに、急に私の護衛として来てもらったのは、夫人に話していなかったのかもしれません。」
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