家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
王女は少し視線を落としたものの、その声には一分の曇りもなかった。

「その点については、申し訳なかったわ。」

そう言って、セレンシア王女はルシアに向かって一礼した。

だが、次の瞬間。

「でも、あなたはもっと状況を確認してから、行動を起こすべきでしたね。」

王女の言葉は柔らかだったが、はっきりとルシアの非を指摘していた。

ルシアはぎゅっとドレスの裾を握りしめ、黙って頭を下げた。

その姿は、あの気位の高かった令嬢だったとは思えないほど小さく見えた。

空気は凍り付き、誰もが次の言葉を待っていた。

「それと、」

セレンシア王女は静かにルシアのそばへ近づき、耳元でそっとつぶやいた。

「男性は、晩餐会に愛人を連れてきませんよ。」

その声は決して大きくなかったが、冷ややかでよく通った。
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