家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「レオンに愛人がいると疑っているのなら、もっと違うところに気を張るべきですね。」

王女はそれだけ言うと、何事もなかったかのようにルシアから離れた。

すぐにレオンがその傍らに立ち、まるで最初からそうであったかのように、彼女を護衛するかのように歩き出した。

その後ろ姿を、ルシアは呆然と見送っていた。

確かセレンシア王女は、かつてルシアが婚約していたアルバート王子の妹だったはず。しかも、ルシアより年下。

「年下のくせに……」ルシアはぽつりとつぶやいた。

でもその年下の王女が、自分よりもずっと余裕を持って振る舞い、周囲の視線を味方にしていた。

周囲からクスクスと忍び笑いが聞こえた。

その音に、ルシアは居たたまれなくなり、思わず視線を泳がせた。――すると、一人の見知った女性が目に入る。

「……あっ、ベリンダ。」






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