家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
懐かしい名前を口にしながら、ルシアは少し安堵した表情を浮かべた。

スクール時代の同級生。気心の知れた仲間だと思っていた。

「あなたも来ていたのね。ベリンダ!」

気を取り直し、明るく声をかけるルシア。

だが、ベリンダは一瞬ルシアを見ただけで、そっと背中を向けた。

「……ベリンダ?」

ルシアの声には、戸惑いが滲む。そんな彼女に、ベリンダは冷ややかに言い放った。

「私は“公爵夫人”よ。気安く声をかけないでいただけるかしら?カザリス伯爵夫人。」

まるで、その差を誇示するように、わざとらしく「公爵夫人」という言葉を強調して。

「えっ……」

その場に立ち尽くすルシア。笑い声は止むことなく、周囲の貴族たちはあからさまに彼女を見ていた。

胸の奥がきゅっと締めつけられる。

まるで、自分だけが過去に取り残されているかのようだった。







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