家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「あなたの言う通り、身分は違うわね。」

その声に振り返ると、エミリアとリリアンが私の傍に立っていた。

「でもクラリスは、きちんと礼節をわきまえているわ。あなたと違って。」

エミリアの言葉に、ルシアの顔が見る見るうちに真っ青になっていく。

「それに、身分を超えた友人を――あなた、ルシアは持っていないのかしら。」

リリアンが淡々と続けたその一言に、ルシアは唇を噛みしめてうつむいた。

私は、いたたまれなさに胸が痛んだ。

「さあ、クラリス。行きましょう。」

リリアンは私の手を取った。

私は頷きながらも、振り返らずにはいられなかった。

ルシアは一人でそこに立ち尽くしていた。

誰よりも誇り高く、誰よりも孤独な妹――

手を差し伸べたいのに、またすり抜けてしまう。

そんな寂しさが、私の心を締めつけた。




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